先日、衝撃的なニュースが飛び込んできました。昭和と平成の人気バラエティー番組を数多く手がけた敏腕ディレクターA氏が亡くなったというのです。A氏は50代で、埼玉県某市の単身者向けアパートで変わり果てた姿で発見されました。事件性はないということですが、まだ若い命が逝ってしまったことに言葉もありません。
A氏はAD時代に明石家さんまさんに見出され、『さんまのスーパーからくりTV』や『明石家さんちゃんねる』などを担当しました。その後も『爆笑問題のバク天！』や『中居正広の金曜日のスマたちへ』などTBS系列の番組を中心に手がけ、後に“伝説のテレビマン”と称賛されるほど活躍しました。
A氏が手がけた最大のヒット企画が1999年から2003年にかけて放送されたバラエティー番組『ガチンコ！』です。TOKIOが司会を務めた同番組で特に人気を集めたのが、不良少年がプロボクサーを目指す姿を追った『ガチンコファイトクラブ』のコーナーでした。文字通りの“ガチンコ”で本物の不良を集めて撮影したため、喧嘩や警察沙汰が絶えなかったそうです。A氏は揉め事を仲裁したり、番組をまとめる中心的な役割を担い、TOKIOのメンバーも絶大な信頼を寄せていました。
私もこの番組はよく観ていましたが、不良少年たちの成長や挫折、涙や笑顔に感動したものです。特に印象的だったのは、長瀬智也さんが涙ながらに「お前らは俺らより強い」と言ったシーンです。あれは本当に胸に響きましたね。A氏は長瀬さんや国分太一さんと仕事以外でも交流を深め、食事に行くこともあったそうです。
「ファイトクラブ」で少年たちの指導に当たった元WBA世界ミドル級チャンピオンの竹原慎二さんも、「自分はあの番組のおかげで世間に名前を知ってもらったし、Aさんには本当にお世話になりました」と語っています。A氏の訃報に対して、明石家さんまさんや中居正広さんなど、親交のあった芸能人やテレビ局関係者から悲しみの声が相次いでいます。
A氏は大柄な体格で両腕にタトゥーを入れていた一見コワモテ風の人でしたが、仕事に対する姿勢は誰よりも真剣でした。番組の最高視聴率は26.2％で、間違いなく『ファイトクラブ』の人気によるものでした。A氏はTOKIOのメンバーと共に、“どうしたら番組が面白くなるか”“視聴者が喜ぶか”を考え、打ち合わせが深夜に及んだこともありました。
A氏は日本のテレビ界に多大な貢献をした人物です。彼が生み出した番組や企画は、今でも多くの人々の心に残っています。彼の死は、私たち視聴者にとっても大きな損失です。彼のご冥福を心よりお祈りします。
