ビッグモーターは全国に展開する中古車販売店だが、その裏では多くの不正行為が行われていた。保険金の水増し請求や、車検や点検での不要な費用の請求など、被害者は数え切れないほどいる。しかし、警察やメディアはこの問題にほとんど触れず、ビッグモーターは売上高7000億円を誇る大企業として君臨していた。
しかし、2023年7月5日、ビッグモーターは自動車保険金請求における不適切な行為を認めるお知らせを公式サイトに出した。これは特別調査委員会の調査報告書に基づくもので、再発防止策なども提言されている。このお知らせは一部のメディアにも取り上げられたが、その内容は表面的なものにとどまっていた。
筆者は2022年夏頃からビッグモーターの不正について様々な取材を続けてきた。元社員や元幹部、現役営業スタッフや整備スタッフ、下請け修理スタッフ、そして被害を受けたお客さんたちなど、合計50名以上の人々に話を聞いてきた。その中で明らかになったのは、ビッグモーターが抱える経営危機だった。
関係者から届いたメッセージによると、ビッグモーターはグループ全体で大幅減益となっているという。昨年までは40億前後の単月経常利益があったが、今年4月には10億円を切って7億7000万台にまで落ち込んだという。5月も10億円以下で、かなりギリギリな数字だという。この情報は複数の関係者からも確認された。
ビッグモーターは上場していないため、経常利益などは公開されていない。就職情報誌の会社概要に記されている「グループ合計売上高7000億円」だけが、これまで一般に広く知られる業績だった。しかし、実際はそうではなかったのだ。
ビッグモーターの不正と経営危機について、今後も追って報道していく予定だ。被害を受けた人たちには少しでも救いの手が差し伸べられることを願ってやまない。
