こんにちは、野球ファンの皆さん。今日は、先日発売されたばかりの『栗山ノート2』（光文社）という本から、WBC優勝の舞台裏をお伝えしたいと思います。この本は、侍ジャパンの栗山英樹監督が自ら書いたもので、WBC準決勝から決勝までの試合や選手とのやり取りを赤裸々に綴っています。中でも、私が特に感動したのは、優勝決定戦で大谷翔平が投げて打つことができなくなった際に、栗山監督と交わした言葉についてです。
その場面は、8回裏から9回表にかけてのことでした。8回裏は、2アウトから山田が四球で出塁し、盗塁に成功して2塁へ進みました。打者の源田はサードゴロを打ちましたが、微妙なタイミングだったのでリクエストをしました。このリクエストは、9回表に登板する大谷翔平のために時間を取ったのではないかと言われましたが、栗山監督はそうではないと否定しています。彼は、1点を争う際どいゲームである以上、セーフの可能性があるならリクエストをしなければならないと考えていたのです。そして、リクエストをしたことで大谷翔平のリズムを乱したかもしれないと心配しながらも、彼に分かってくれるだろうと信じていました。
そして9回表に入りました。栗山監督は球審に告げました。「ピッチャー、大谷」これでDHは解除されます。他のポジションを守れば打席に立つことはできますが、投げながら打つことはできません。栗山監督は、抑えたら世界一という状況で大谷翔平を送り出すことが理想だったと言っています。1点差という厳しい状況ではありましたが、リードして任せることができました。
しかし、大谷翔平は投げて打つことができなくなったことに納得できなかったようです。優勝記者会見の後、彼は一人で監督室を訪れました。栗山監督は、彼に「おめでとう」と言いましたが、彼は「えっ、何言っちゃってるんですか？」と返しました。そして、「投げて打つことができなくなったのは、僕のせいですよね。僕がもっと早く投げていれば、打席に立てたんですよね。それなのに、おめでとうって……」と言いました。
栗山監督は、彼の言葉に驚きました。彼は、大谷翔平が投げて打つことができなくなったのは、自分の責任だと思っていたのです。彼は、彼に「そんなことないよ。君は素晴らしい仕事をしたんだよ。君が投げてくれたから、僕たちは優勝できたんだよ」と言いました。そして、「君は本当に野球が好きだね。君のような選手がいるから、僕は野球をやっているんだよ」と言いました。
大谷翔平は、栗山監督の言葉に涙を流しました。彼は、「ありがとうございます。本当にありがとうございます」と言いました。そして、「これからも頑張ります。どうか応援してください」と言いました。
