1990年代末から2000年代初めにかけて、「癒し」という言葉が流行しました。1999年には、栄養剤のCMで坂本龍一が弾くピアノ曲「energy flow」が大ヒットし、癒しの音楽と称されました。同年には、この言葉が新語・流行語大賞のトップテンに入り、癒しをテーマにした地方博覧会を企画した和歌山県知事（当時）の西口勇が受賞しています。
井川遥が東洋紡水着サマーキャンペーンガールとして芸能界にデビューしたのは、まさにこの年でした。翌2000年にアサヒビールのイメージガールに選ばれ、前後して雑誌のグラビアにも登場し始めます。そのなかで、とある雑誌の編集部が井川に対し「癒し系」という言葉を用いたところ、彼女の枕詞として定着していきます。そのおかげもあってか人気に拍車がかかります。
井川は今年でデビュー25年目に入り、6月29日に47歳の誕生日を迎えました。彼女は昔から姉の影響でファッションに興味があり、モデルという仕事への憧れもありました。高校時代にスカウトされましたが、担当者が信用できず断りました。短大卒業後は一般企業に就職しますが、夢を捨てきれず、迷った末に会社を辞めてモデル事務所に入ります。東洋紡のキャンペーンガールに選ばれたのは、それから3～4ヵ月後でした。
その後、グラビアで人気が爆発すると同時に、女性誌の仕事も増えてきました。彼女は男性誌も女性誌も、どちらも写真で見せることに変わりはないと思いながらレンズに向かっていました。そのおかげか、彼女は男性ばかりでなく女性からも支持を集めます。「癒し系」と呼ばれることに彼女のなかでは戸惑いもありました。
