「母親になって後悔してる」というタイトルの本は、ユダヤ人の社会学者オルナ・ドーナトさんによって書かれました。この本は、妊娠、出産、子育てに関するイスラエル女性23人の後悔と、それらが生じる背景にある社会的圧力をジェンダーの観点から分析したものです。日本を含む世界10数カ国で出版され、賛否両論が巻き起こりました。日本語版を手がけた新潮社によると、女性向けの本と思われがちですが、実際には男性の読者も多いそうです。
ドーナトさんはオンラインインタビューで、「社会からあるべき姿を押し付けられ苦しんでいる人は多く、世界的な課題である。多様な選択肢や生き方を認め合える社会になるべきだ」と強調しています。彼女自身も子どもを持たないと明言しており、2003年ごろからイスラエルで「親になることを望まない男女」に関する研究を始めました。
イスラエルでは子どもを持つことが強く推奨されており、女性が子どもを3人ほど産むことは「当たり前」とされています。子どもを持たない人は、「人生の重要なことを成し遂げていない」「子供じみている」と批判されがちで、居場所のなさを感じる人も多いそうです。ドーナトさんは、「こうした昔ながらの認識が変わらない限り、女性らの苦しみは続くのではないか」と感じています。
