静岡県の川勝知事は、JR東海が山梨県内で行うボーリング調査で出る水について、「水は皆のものであり、同時に誰のものでもない」と述べ、一転して「静岡の水」との主張はしない考えを示しました。県境までの調査は事実上容認した。山梨県の長崎幸太郎知事は、「（調査で出る水が）静岡の水、山梨の水という議論は受け入れがたい」と強調しました。これに対し、川勝知事は「水は動いている。どっちのものだという話は向かない」とし、山梨県で出た水が静岡県の水だという主張は「（今後）しない」と明言しました。
調査は、トンネル工事に先立って地質や湧水の状況を確認するために山梨県から静岡県に向けて進めています。県は、県境から山梨県側の約３００メートルでの調査停止をＪＲ東海に文書で要請していましたが、一方的な介入に強く反発する山梨県に配慮する姿勢を見せました。
今回、県が山梨県の主張に耳を傾ける姿勢に大きく舵（かじ）を切った背景には、調査停止要請に対して異論が相次いでいたことがあります。調査については、県の専門部会の複数の委員が「大量湧水に至ることはなくコントロールできる」「水が出たとしても止められる」との見解を示しました。
川勝知事は、「水が静岡県から引っ張られるという前提があり、懸念を払拭（ふっしょく）する義務は事業主体にある」との立場を強調し、引き続きＪＲ東海に水が流出した場合の対応を求める考えを示しました。県内の調査については、「専門部会の判断に従う」と述べました。
