ウクライナ軍は、南部ヘルソン州のドニエプル川にあるカホフカ水力発電所のダムがロシア側によって破壊されたと発表し、ゼレンスキー大統領は強く非難しました。ヘルソン州の知事は、大量の水が下流に流れ、約1万6000人の住民が危険にさらされているため避難を進めていると言及しました。一方、ロシア大統領府のペスコフ報道官は、ウクライナ政府の命令で計画・実行されたものだと主張し、ウクライナ側の攻撃だと批判しました。国連安保理はこれを受けて緊急公開会合を開くことを決めました。
ドニエプル川はロシアとウクライナとベラルーシの間を流れて黒海に注ぎ込んでいる川で、その河口辺りにあるのがヘルソンです。その少し上がザポリージャで、原発があります。ザポリージャ原発の水はこのダムから取っています。また、クリミア半島は実は水がないところで、このダム湖から水を引っ張り、上水道に使っているという話です。
BBCが面白い指摘をしています。ヘルソンはドニエプル川の右岸にあり、そこを奪還したので、いまへルソンではドニエプル川がウクライナとロシアのちょうど最前線になっています。このダムは両岸を渡す橋でもあります。ウクライナが「夏に大反転攻勢に出る」と言われていますが、その場合、ドニエプル川を渡ってヘルソンからマリウポリなどがある東の方へ来るだろうと予想されています。そのときにこのダムを使うのではないかということです。それをロシアが懸念して破壊したと考えるのが最も論理的な説明ではないかと指摘しています。