日銀の物価見通し、誤りがあったことは認めざるを得ない-植田総裁(Bloomberg) - Yahoo!ニュース
日本銀行の植田和男総裁は、11月8日に衆院財務金融委員会で答弁し、日銀の消費者物価見通しに誤りがあったと認める見解を示しました。
日銀は、2023年度から25年度までの消費者物価の見通しを10月31日の金融政策決定会合で全て引き上げましたが、これは輸入物価の転嫁によるインフレの影響を反映したもので、賃金と物価の好循環によるインフレはまだ弱いという判断に基づいています。
植田総裁は、輸入物価に押し上げられたインフレは「早晩勢いが衰えてくる」と述べ、「第2の力を育てていくために金融緩和を維持している」と語りました。
しかし、日銀の物価見通しは、これまでにも何度も上方修正を繰り返しており、市場や野党からは予想の甘さや信頼性の低さを指摘されてきました。1
植田総裁は、この点について「見通しの誤りがあったということは認めざるを得ない」と述べましたが、同時に「賃金上昇を伴う持続的・安定的な2%上昇はまだ実現できていない」とし、現行の金融政策の正当性を主張しました。1
日銀の物価目標2%を下回るレベルで推移している金融市場が予想する先行きの物価上昇率を示すブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は、14年以来の高水準を更新しています。
これは、日銀の緩和的な金融政策によるインフレ期待の上昇が通貨の価値の減価につながるという見方が強まっていることを示しています。
日銀は、長期金利の上限の1%超えを容認するイールドカーブコントロール(YCC)の柔軟化措置を決めましたが、これが金融政策の変更の前触れではないかという憶測も出ています。
日銀の物価見通しは、今後も市場や政治の注目を集めることになりそうです。