「串カツ田中」の新規出店数が急ブレーキ、年間計画を半減させるに至った深刻事情とは？（東洋経済オンライン） - Yahoo!ニュース
こんにちは。今回は、「串カツ田中」の出店計画が半減した理由と、人手不足がもたらす飲食業界の課題についてお話ししたいと思います。
「串カツ田中」は、2008年に初出店し、2011年にFC展開を開始して以降、年間30店舗ほどのペースで店舗数を増やしてきました。現在では全国に319店舗を構える居酒屋大手です。
しかし、2023年11月期に計画していた新規出店数は、期初の時点で66店舗から32店舗に半減することになりました。その理由は、ほかならぬ人手不足です。
「串カツ田中」では、店長を含めた2～3人の正社員と、複数のアルバイトスタッフで各店舗を運営しています。しかし、正社員は採用難で不足しており、アルバイトも都心部では充足しない店舗が存在します。そのため、他の店舗から人員を派遣するなどして対応していますが、限界もあります。
「人さえいればお店を出せるんですけどね」と話す坂本壽男社長は、「人材確保が最大の課題」と語っています。出店計画の見直しは大きな痛手であり、業績見通しも下方修正しました。
「串カツ田中」だけでなく、飲食業界全体が人手不足に悩まされています。厚生労働省の調査によると、2023年4月時点で人手不足と感じている飲食業の企業は75.9％に達しています。また、「人手不足倒産」という言葉も生まれており、経営危機に陥る企業も少なくありません。
人手不足の原因はさまざまですが、賃金水準の低さや労働環境の悪さが大きく関係していると考えられます。飲食業では長時間労働や休日出勤が当たり前であり、休暇取得やキャリアアップも難しい場合が多いです。そのため、若者や女性など多様な労働力の確保が困難になっています。
このような状況を打破するためには、飲食業界全体で賃金や労働環境の改善が必要です。政府も働き方改革の一環として、飲食業の残業時間の上限規制や休日確保の義務付けなどを検討しています。また、外国人労働者の受け入れ拡大や、高齢者や障害者などの雇用促進も人手不足の解消に寄与するでしょう。
「串カツ田中」は、人手不足に対応するために、直営店をFCに転換したり、新規出店を見合わせたりしていますが、それだけでは根本的な解決にはなりません。人材確保のためには、従業員の満足度や忠誠度を高めることが重要です。そのためには、賃金や福利厚生の充実だけでなく、教育や評価制度の整備、コミュニケーションやフィードバックの活性化などが必要です。
「串カツ田中」は、「お客様に喜んでいただくことが最大の幸せ」という理念を掲げています。そのためには、お客様だけでなく、従業員も幸せであることが大切です。人手不足が深刻化する中で、飲食業界は大きな転換期を迎えています。今こそ、従業員の声に耳を傾け、より良い働き方を実現することが求められているのです。
