こんにちは。今回はブダペスト世界陸上で開かれた異例の会見についてお伝えします。
世界陸上は19日から連日熱戦が繰り広げられていますが、その裏で地球温暖化の問題が切実に訴えられています。21日には、世界陸連（WA）が「最も脆弱な国たち」の代表者5人を招いて会見を開きました。彼らは自国の存亡に関わる危機を報道陣に語りました。
出席したのは、南太平洋の小さな島国ツバル、キリバス、モルディブ、マーシャル諸島、バヌアツの陸上連盟代表者です。これらの国々は海面上昇により数十年後には存在しなくなる可能性が高いと言われています。ツバル陸連のニオネ・エリウタ事務局長は、「科学者いわく、50～100年後には、我々の国はもう存在しない」と衝撃的な事実を告げました。
彼らは地球温暖化による影響をすでに身をもって感じています。気候変動により台風や干ばつが頻発し、飲料水や食料が不足しています。また、海水温の上昇やサンゴ礁の白化により漁業や観光業も打撃を受けています。さらに、海面上昇により住む場所や耕作地が失われ、避難民となる人々が増えています。
彼らはスポーツを通じて自国の存在や問題を世界に知ってもらおうとしています。しかし、地球温暖化はスポーツにも悪影響を及ぼしています。気温や湿度の上昇により選手たちの健康やパフォーマンスが低下し、競技環境も悪化しています。彼らは「我々はスポーツをすることすら困難になっている」と訴えました。
彼らは世界各国に協力を求めました。「我々は一人では何もできない。皆さんの助けが必要です」とエリウタ事務局長は言いました。彼らは温室効果ガスの排出削減や再生可能エネルギーの導入など、気候変動対策を強化することを要請しました。また、スポーツ界にもサステナビリティ（持続可能性）を重視することを呼びかけました。
WAも危機感を持っています。コー会長は「選手たちの健康が最優先事項」と述べ、暑さ対策を講じています。女子5000メートル予選の開始時間を変更したほか、新設のメイン会場では環境負荷に配慮したトラックを採用しました。また、ペットボトルゴミを削減するために報道陣にウォーターボトルを配布しました。
ブダペスト世界陸上は、スポーツの祭典であると同時に、地球温暖化の現実と向き合う場でもあります。私たちは、彼らの声に耳を傾け、自分にできることを考えていかなければなりません。スポーツは人々をつなぐ力があります。その力を使って、地球の未来を守ることができると信じています。
