8月14日、札幌市・ススキノのラブホテルで殺害された会社員の男性の首が切断された事件で、無職の田村瑠奈容疑者（29）と父親で医師の修容疑者（59）、母親でパート従業員の浩子容疑者（60）の3人が殺人容疑で再逮捕された。1この事件は、家族3人が共謀して1人の男性を殺害したという、通常では考えられない犯行だった。2
事件の背景には、田村家の親子関係が大きく影響していると見られる。特に、父親の修容疑者は、娘の瑠奈容疑者に対して極端な過保護を行っていたという。これは、アメリカ発の「ヘリコプターペアレント」という言葉で表現される現象だ。
ヘリコプターペアレントとは、上空を旋回するヘリコプターのように常に子供を見守り、何かあると急降下して事態に介入する親のことを指す。3子供に対して自立を促さず、過剰な保護や干渉を行うことで、子供の成長や社会性を阻害する恐れがある。
この事件では、修容疑者が娘と一緒に被害者と出会ったダンスクラブに入店し、娘が被害者と親密になる様子を見守っていたことが映像で確認されている。また、娘が被害者を殺害した後、父親は大量の氷を購入して、娘が自宅に持ち帰った被害者の頭部を保存する手助けをしたという。
このように、修容疑者は娘の犯行に加担し、共犯者となってしまった。これは、ヘリコプターペアレントが極端な形で現れた例と言えるだろう。ヘリコプターペアレントは、我が子のために何でもするという姿勢が裏目に出て、我が子を犯罪者にしてしまう危険性も孕んでいる。
この事件は、日本社会におけるヘリコプターペアレントの問題を浮き彫りにした。子離れができない親や子供はどうすればいいのか。親子関係のあり方や教育方法について考えさせられる事件だった。
