こんにちは。今日は高校野球ファンなら誰もが知っている名試合について書きたいと思います。それは1984年夏の甲子園決勝戦です。取手二対PL学園です。
この試合は、「甲子園の奇跡」と呼ばれるほど衝撃的な結果でした。桑田・清原を擁するPL学園は当時無敵の強さで、2年連続で日本一を目指していました。一方の取手二は初出場からわずか7年で3回目の優勝を飾りましたが、その道のりは決して平坦ではありませんでした。
実は私はこの試合の前に、取手二の監督だった木内幸男さんにインタビューする機会がありました。木内さんは生涯で4回も甲子園優勝を経験した名将ですが、その中でも最も思い入れがある試合だったそうです。
木内さんは私にこう語ってくれました。「あの時はちょうど、土浦から野球がうまい連中が私の下で野球がやりてぇって取手まで来てくれることになってたんです。『こいつらが卒業しねぇと俺は次に行けねぇんだよな』と。だから、優勝したから常総学院に行ったってわけじゃねぇんです」
木内さんが言う「野球がうまい連中」とは、吉田剛や石田文樹ら、84年夏のメンバーのことです。彼らは1年生から主力として経験を積み、センバツにも2回出場しました。しかし、夏の大会前に行われたPL学園との招待試合では、0-13で完敗しました。エースの石田は右肩を痛めており、チームはフラストレーションが溜まっていました。3年生の集団ボイコットという事態にも陥りました。
そんな中で、木内さんはチームを立て直すために、選手たちと話し合ったり、自主練習をさせたりしました。また、PL学園の弱点を探るために、ビデオやスコアブックを分析しました。そして、決勝戦では、石田が完投し、吉田が決勝打を放つなどして、奇跡的な逆転勝利を収めました。
この試合は私にとっても忘れられないものです。スタンドから見ていた私は、取手二の選手たちの涙や笑顔に感動しました。木内さんも喜びのあまり泣いていました。それはまさに高校野球の醍醐味でした。
木内さんは残念ながら昨年亡くなりましたが、彼の遺した高校野球の歴史は永遠に残ります。私はこの記事を読んでくださった皆さんにも、木内さんや取手二の選手たちの想いや努力を知っていただきたいと思います。そして、高校野球の素晴らしさを再認識していただきたいと思います。
