日本では、ガソリンの小売価格が1リットルあたり180円を突破し、200円に迫る勢いとなっています。これは、政府が1年半にわたって行ってきたガソリン代の補助が段階的に削減されていることや、円安や原油価格の上昇などの要因によるものです。政府は9月末で補助を終了させる予定でしたが、国民の生活への影響を考慮して延長の検討に入りました。しかし、補助を続けると税金の負担が増えることや、環境問題への対策が遅れることなどの問題もあります。また、ガソリン税の減税も求められていますが、これも財政や環境に悪影響を及ぼす可能性があります。岸田政権は、ガソリン価格の高騰に対してどのような対策を取るべきか、厳しい選択を迫られています。
このブログ記事では、以下の点について詳しく説明します。
- ガソリン代の補助とは何か、どのような効果と問題点があるか
- 円安や原油価格の上昇がガソリン価格に与える影響とは何か
- ガソリン税の減税とは何か、どのような効果と問題点があるか
- 岸田政権が取りうる対策とは何か、どのような利害関係があるか
ガソリン代の補助とは何か
政府が行ってきたガソリン代の補助とは、全世界的な資源価格の高騰やロシアのウクライナ侵攻によって、ガソリン価格が急上昇したことを受けて、2022年1月からスタートさせた政策です。おおよそ170円を目安に、この金額を超えた分について政府が石油元売り事業者に補助することでガソリン価格を抑制するものです。国民にとっては、補助がなければガソリンがいくらだったのかが分かりにくいため、あまり効果を実感できていなかったかもしれません。しかし、この施策には莫大な税金が注ぎ込まれており、2022年については約3兆円の予算が組まれました。政府としてはいつまでも補助は続けられないとして、2023年6月から段階的に補助を削減し、9月末に終了させることを決定しています。
円安や原油価格の上昇がガソリン価格に与える影響
政府は補助を終了してもガソリン価格は跳ね上がらないという判断でしたが、最大の誤算となったのが円安です。年明けには120円台まで戻していたドル円相場で、再び円安が進行し、とうとう145円を突破する状況となりました。いくら原油価格が落ち着いても、日本の場合、原油はほぼ全量輸入なので円安になれば価格が上昇してしまいます。円安によってガソリン価格が上昇してきたことに補助の終了が重なったことから、ガソリン価格が跳ね上がる可能性が高くなってきました。しかも主要産油国であるサウジアラビアが減産の方針を示していることから、原油価格が再び上昇に転じると予想する専門家も増えてきました。円安と原油価格の上昇が重なった場合、1リットルあたり200円を突破する可能性も見えてきました。
ガソリン税の減税とは何か
ガソリン税の減税とは、政府が設けているトリガー条項を発動することで、ガソリン税を一時的に引き下げることです。トリガー条項とは、原油価格が一定の水準を超えた場合に、ガソリン税を減税することを定めた法律です。現在のトリガー条項では、原油価格が1バレルあたり85ドル以上になった場合に、1リットルあたり2.1円の減税が適用されます。しかし、この条項は2008年に一度だけ発動された以来、使われていません。政府はトリガー条項の発動に消極的であり、原油価格だけでなく為替レートや補助金なども考慮する必要があるとしています。また、ガソリン税は道路整備や地方財政などに使われる重要な財源であり、減税すると財政赤字やインフラ老朽化の問題が深刻化する恐れがあります。
岸田政権が取りうる対策とは何か
岸田政権は、ガソリン価格の高騰に対してどのような対策を取るべきか、厳しい選択を迫られています。補助を続けるか延長するか、トリガー条項を発動するかしないか、あるいは他の手段を探すかなどの選択肢があります。しかし、どれも一長一短であり、利害関係も複雑です。補助や減税を行えば国民の負担は軽減されますが、財政や環境への悪影響も大きくなります。逆に補助や減税をしなければ財政や環境は改善されますが、国民の生活は苦しくなります。また、補助や減税は根本的な解決策ではなく、一時しのぎに過ぎません。長期的にはエネルギー政策の見直しやエネルギー効率の向上などの対策が必要です。
