こんにちは、管理栄養士と食生活アドバイザーのゆかりです。今回は、納豆の食べすぎについてお話ししたいと思います。
納豆は、日本の伝統的な発酵食品で、高たんぱくでビタミンやミネラルが豊富です。特に、骨を強化するビタミンKや血栓を予防する酵素(ナットウキナーゼ)が多く含まれており、健康維持に役立つことから、「日本のスーパーフード」とも呼ばれています。
しかし、納豆は食べすぎると、栄養のとりすぎになり、中毒症状を引き起こす可能性もあるのです。納豆に含まれる栄養素の中で、特に注意が必要なのは以下の3つです。
・ビタミンK ビタミンKは、血液が固まるのを助ける働きがありますが、過剰摂取すると、血液が固まりすぎて血栓ができやすくなったり、抗凝固剤の効果を低下させたりする恐れがあります。また、高用量のビタミンKを摂取すると、肝臓で代謝される際に毒性物質が生成されることもあります。ビタミンKの1日の摂取基準は成人男性で150μg、成人女性で120μgですが、納豆1パック(50g)には約800μgも含まれています。つまり、納豆1パックで摂取基準の5倍以上を摂取してしまうことになります。
・ナットウキナーゼ ナットウキナーゼは、血液中の線維素というタンパク質を分解して血液をサラサラにする働きがありますが、過剰摂取すると、出血傾向や貧血を引き起こす可能性があります。また、抗凝固剤やアスピリンなどの薬と併用すると、出血リスクが高まることもあります。ナットウキナーゼの1日の摂取基準は定められていませんが、一般的には納豆1パック(50g)に含まれる量(約2000IU)程度が適量とされています。
・イソフラボン イソフラボンは、女性ホルモンに似た作用を持つ植物性エストロゲンです。適度な摂取は更年期障害や骨粗しょう症などの予防に役立ちますが、過剰摂取すると、女性では月経不順や乳房痛などの副作用が起こることがあります。また、男性では男性ホルモンの分泌を抑制したり乳房が発達したりすることも報告されています。イソフラボンの1日の摂取基準は70mgですが、納豆1パック(50g)には約35mgも含まれています。つまり、納豆2パックで摂取基準に達してしまいます。
以上のことから、納豆は食べすぎると健康に悪影響を及ぼす可能性があることがわかります。では、納豆はどれくらいまでなら安心して食べられるのでしょうか?
納豆の適量は、1日に1パック(50g)程度です。これなら、ビタミンKやナットウキナーゼの摂取量が摂取基準の範囲内に収まりますし、イソフラボンの摂取量も適度になります。また、納豆は毎日食べる必要はありません。週に3~4回程度で十分です。納豆以外にも、ビタミンKやナットウキナーゼやイソフラボンが含まれる食品がありますので、バランスよく摂ることが大切です。
納豆は、日本のスーパーフードとして世界からも注目されていますが、食べすぎると逆効果になることもあります。納豆の栄養素を上手に活用するためには、適量を守って食べることが大切です。納豆を食べる際は、自分の体調や薬の服用などを考慮して、適切な量を選びましょう。