香川真司選手は、今季セレッソ大阪でボランチとしてプレーしている。かつてドルトムントやマンチェスター・ユナイテッドでトップ下として活躍した香川にとって、このポジションは意外に見えるかもしれない。しかし、香川は10代の頃からボランチ志向が強く、Ｕ－20ワールドカップでもそのポジションでプレーしていた。今季の香川のボランチ起用は、転向ではなく、復帰なのだ。
香川は、ボランチとしてどんなプレーを見せているのだろうか。セレッソ大阪は４－４－２をベースに戦っており、香川は２ボランチの一枚として、攻撃の中継点としてパスを受けてはさばく役割を担っている。時にはDFラインに吸収される位置まで下がり、時にはタイミングを見て前線やサイドのスペースへ出ていくこともある。しかし、あくまでも主戦場は"中盤の底"であり、トップ下時代のような多くのゴールやアシストを期待するのは難しいだろう。
それでも、香川はセレッソ大阪で際立つ存在感を放っている。彼の優れた技術と瞬間的なスピードは、狭いスペースでも正確にボールを扱えることを証明している。また、彼の経験と知性は、チームの戦術やリズムに合わせて自分のポジショニングや動きを調整することを可能にしている。香川は、自分の役割を理解し、それに忠実にプレーすることで、チームに貢献しているのだ。
香川がＪリーグに戻ってくると聞き、多くの人が彼の活躍に期待したことは間違いない。しかし、その活躍の形は、過去のイメージとは異なるかもしれない。香川は、34歳という年齢にも関わらず、新たな挑戦を恐れずに受け入れている。彼は、自分のサッカー人生における新しい一面を見せてくれている。それは、「意外」ではなく、「素晴らしい」ことなのだ。
