谷川クリーニングは、1969年に創業し、現在は52人の従業員を抱えています。一般用だけでなく、企業や医療関係のユニホームや工業用のクリーニングも扱っています。しかし、かつては工場であいさつをすれば「うるせえ」と怒鳴られ、18人いた社員がひと月で14人辞めるような状況でした。
そこで、2004年に代表を引き継いだ2代目社長の谷川祐一さんと専務の麻美さん夫妻が、工場や各店舗にシフト決定や支出の裁量権を持たせる「自律分散型」の運営に切り替えました。これにより、従業員の主体性や責任感が高まり、労働生産性も利益率も向上しました。また、従業員主体のサービスで差別化し、利用客との信頼関係も築きました。2020年には、民間有識者が全国の企業から選ぶ「ホワイト企業大賞」に輝きました。
祐一さんは、元々後を継ぐ気はなく、大学進学で東京に出てスポーツジム通いやお笑いの研究、飲食店アルバイトなど様々な経験を積みました。また、ゲーム会社に勤めたり、役者の道も模索したりしました。しかし、28歳のときに父から「そろそろ帰ってこい」と言われ、家業を継ぐことを決意しました。
祐一さんは、「自分がやりたいことがなかったからこそ、父から言われたことをやってみようと思った」と語っています。そして、「自分がやりたくないことをやってみるということは、自分が知らない世界に飛び込むことだから面白い」とも言っています。
谷川クリーニングは、自律分散型経営で従業員と利用客の幸せを実現しています。祐一さんは、「自分が幸せだと思うことをやっている人は素敵だし尊敬します。でも、自分が幸せだと思わないことをやっている人も素敵だし尊敬します」と言っています。その言葉には、父への感謝や自分への誇りが込められているのではないでしょうか。
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