【マイホームか、農業か】突然の継承依頼に悩む夫婦の選択
「家賃がもったいない」家を購入した30代夫婦だが…突然やってきた「予期せぬ連絡」(幻冬舎ゴールドオンライン) - Yahoo!ニュース
こんにちは、幻冬舎ゴールドオンラインの編集部です。今回は、マイホームを購入したばかりの夫婦が、遠い親戚から農業を継いでほしいと言われたという話を紹介します。
A夫婦(夫:35歳、妻:30歳)は、首都圏に一軒家を買いました。家賃はお金を捨てているようなものだと思っていたので、35年ローンで家を購入することに決めました。しかし、数年後に予期せぬ連絡がきます。Aさんの遠い親戚が急逝し、親族から「家を継いでほしい」と依頼されたのです。
Aさんの家系は、とある地方で代々農業を営む名家でしたが、Aさんは数年に一回しか会わない程度の関係でした。仕事もあり、地方に移住することは考えられませんでした。しかし、農業を継ぐことは家業でもあり、親族からの圧力も強かったのです。
Aさんはどうすればよいのでしょうか。家を手放して農業を継ぐべきなのでしょうか。それとも、農地だけを継承して、後から売ってしまうことはできるのでしょうか。
この記事では、農林水産省の調査結果や専門家の意見をもとに、Aさん夫婦が取るべき選択肢を考えてみました。
まず、突然の継承依頼がくること自体は珍しくありません。農林水産省『農業経営の継承に関する意識・意向調査結果』(令和2年度)によると、経営を他者に引き継ぐ意向をもっている農家の半数以上が後継者が決まっていないと回答しています。また、先代が倒れたり亡くなったりしてから後継者探しが始まることも多いという現実があります。
次に、家を手放さずに農地だけを継承することは可能なのでしょうか。答えは「可能」ですが、「難しい」です。農地法では、農地所有者は原則として農業経営者であることが求められます。しかし、例外的に非農業経営者でも農地所有者になれる場合があります。その場合は、以下の条件を満たす必要があります。
- 農地所有者本人または配偶者が親族から相続した場合
- 農地所有者本人または配偶者が親族から贈与された場合
- 農地所有者本人または配偶者が親族から売買された場合
- 農地所有者本人または配偶者が親族から分割された場合
これらの場合でも、農地所有者は3年以内に農業経営者になるか、農地を売却するか、農地の貸付を受けるかしなければなりません。また、農地の売買や貸付は、農業委員会の許可が必要です。農業委員会は、農地の利用状況や地域の農業振興計画などを考慮して、農地の売買や貸付を認めるかどうかを判断します。
つまり、Aさん夫婦が農地だけを継承する場合は、親族からの贈与や売買が必要であり、その後も3年以内に農業経営者になるか、農地を売却するか、農地の貸付を受けるかしなければなりません。また、農地の売却や貸付は、農業委員会の許可が必要です。これらの手続きは簡単ではなく、時間やコストもかかります。