『初恋、ざらり』は、軽度知的障がいをもつ主人公・上戸有紗（小野花梨）と、周囲に“普通であること”を求められ、それに応じて生きてきたアルバイト先の先輩・岡村龍二（風間俊介）との恋愛を描いたドラマです。有紗がもつ軽度知的障がいという個性や、35歳の自称「おっさん」である岡村など、一見すると共感を得るには時間を要しそうなカップルの2人。
この共感性の高さは、2人の性格や生き方に理由がある。有紗は、「世界から求められるには“普通”でなければいけない」「自分は人より劣っている」「努力しなければ“普通”になれない」という劣等感を常に抱えており、自分に自信が持てず、他人に流されやすい。岡村も障がいを知ってから、有紗との向き合い方に迷っています。本作は、多様性が唱えられている現代社会において、個性が尊重されることにより、“普通”の基準が曖昧になっていることや、劣等感から他人に流されやすくなってしまう人々の気持ちを描き出しています。
