中江有里さんが、日々のできごとや過去の思い出を、1冊の本とともにふり返る連載エッセーを書いています。この夏、緊急入院してしまった中江さんが、病床で思いをはせていたのは、「アレ」に向けてひた走る阪神タイガースの試合の行方と、古典とも言えるダニエル・キイスのSF小説でした。中江さんは病院で天井を見つめながら、阪神タイガースと広島カープの首位攻防戦3連戦初日を見逃してしまいました。
しかし、夢の中で野球の試合を見たそうです。また、中江さんはダニエル・キイスのSF小説「アルジャーノンに花束を」についても触れています。この小説は、主人公が手術を受けて知能がアップし、それまで知らなかった喜びや孤独を知ることになる物語です。主人公は最後にアルジャーノンの墓へ花束を供えるようにメッセージを記します。中江さんはこの小説を読んで、せっかく手に入れた知能や記憶もなくしていくのが無念で、悲しく思ったそうです。