記事要約：
この記事は、高畑勲監督の代表作『火垂るの墓』の製作過程について、美術監督の山本二三さん、プロデューサーの村瀬拓男さん、映像研究家の叶精二さんが語るインタビュー記事である。『火垂るの墓』は、野坂昭如さんの同名小説を原作とし、第二次世界大戦末期の日本で孤児となった兄妹の悲劇を描いたアニメーション映画である。1988年に公開され、国内外で高い評価を受けた。
記事では、高畑監督がどのようにしてこの作品を企画し、実現したかが明らかになる。当時、アニメーションはSFファンタジーが主流であり、文学を原作に戦時下の日本をリアルに描くという発想は極めて異端であった。高畑監督は、自ら構想資料を作り、スタッフや出資者を説得してプロジェクトを進めた。美術監督の山本さんは、戦争を経験していない自分にこの仕事ができるかと不安に思ったが、高畑監督の熱意と素晴らしい資料に感銘を受けて引き受けた。プロデューサーの村瀬さんは、新潮社で原作の文庫版を出版していたことから映画に関わることができたが、製作委員会では多くの問題や困難に直面した。
記事は、『火垂るの墓』がどれほど画期的な作品であったかを伝えるとともに、高畑監督の人柄や思想、映画制作に対する情熱や姿勢を垣間見せる。高畑監督は、「この映画では戦争は止められない」というメッセージを込めており、観客に夢や希望を与えることではなく、現実と向き合うことを求めた。その結果、公開当時は家族連れが号泣するなど強い反響を呼んだ。今でも多くの人々に愛される名作である。
