こんにちは。今日は、私が最近相談に来られた方の事例をご紹介したいと思います。その方は、国家公務員として60歳で定年退職したあとは、夫婦2人で郊外の一軒家で暮らしているAさんです。Aさんには一流大学を卒業して大企業に就職した45歳の自慢の息子さんがいらっしゃいます。息子さんは結婚後に一戸建てを新築して、妻（42歳）とお子さん2人（中学生・小学生）と4人でAさんとは離れた地域で暮らしています。
そんな息子さんですが、先日、「希望退職者の募集」という名のリストラに遭ってしまい、20年以上も勤めた大企業を辞めることになりました。その後は中小企業に転職しました。この話を聞いたとき、Aさんは唖然としました。終身雇用時代でさらに国家公務員という安定した仕事で生きてきたAさんには、大企業をリストラされて中小企業に転職した息子さんの気持ちはさっぱりわかりませんでした。なにかの間違いでは、とさえ思ったほどです。優秀で自慢だった息子がなんだか別人に見えてしまった、といいます。
Aさんは、「息子はどうしてあんな馬鹿なことをしたんだろう」「もっと頑張って会社に残ればよかったのに」「中小企業なんて将来性がないじゃないか」「家族や老後のことを考えていないんじゃないか」というようなことを言っていました。Aさんは、息子さんの転職を失敗だと思っており、心配や不安や怒りや悲しみが入り混じった感情を抱えていました。
しかし、私はAさんに対して、息子さんの転職は悪いことではなく、むしろ将来のために有利な選択だったと説明しました。なぜなら、大企業の早期退職にはメリットが多いからです。例えば、以下のようなメリットがあります。
- 早期退職金を受け取ることができる。これは、老後資金や再就職のための資金として活用できます。
- 早期退職することで、自分のキャリアやライフスタイルを見直す機会になる。自分のやりたいことや得意なことを見つけることができます。
- 早期退職することで、自分のスキルや経験を活かせる仕事に転職することができる。中小企業では、大企業よりも自分の裁量や責任が大きくなり、やりがいや成長感を感じることができます。
- 早期退職することで、自分の時間や人生を自由にコントロールすることができる。家族や趣味や健康など、大切なことに時間を割くことができます。
もちろん、早期退職にはデメリットもあります。例えば、以下のようなデメリットがあります。
- 早期退職することで、収入が減る可能性がある。特に、中小企業に転職する場合は、大企業に比べて給与や福利厚生が劣る場合が多いです。
- 早期退職することで、社会的な地位や評価が下がる可能性がある。特に、親世代からは理解されにくい場合が多いです。
- 早期退職することで、再就職が困難になる可能性がある。特に、ミドル世代・シニア世代は年齢や経歴のミスマッチなどで採用されにくい場合が多いです。
- 早期退職することで、心理的なストレスや不安を感じる可能性がある。特に、自分の価値観やアイデンティティが変わる場合は混乱する場合が多いです。
これらのメリットとデメリットを比較してみると、早期退職は一概に良いか悪いかという単純な問題ではないことがわかります。早期退職は個人の判断や選択によって決まるものであり、その人にとって最善の道を選ぶことが大切です。Aさんの息子さんは、自分の将来を考えて大企業を辞めて中小企業に転職したのですから、それはそれで尊重すべきだと思います。
