滝沢カレンは、16歳でモデルデビューして以来、バラエティや俳優など幅広く活躍しています。今年、芸能生活15周年を迎える彼女は、ついに小説家デビューを果たしました。彼女は、一見順調に見えるその歩みの中にも、「岩だらけの山に素手で傷だらけになって登るような辛い」時期があったと語ります。
彼女が作家デビューした『馴染み知らずの物語』（ハヤカワ新書）は、カフカの『変身』や与謝野晶子の『みだれ髪』、カズオ・イシグロの『わたしを離さないで』といった古今東西の名作のタイトルだけをヒントにまったく新しい物語を紡いだユニークな短編小説集です。滝沢さんは、「タイトルをヒントに自由に物語を書いていいですよ」ということが、自分にとって最高にうれしいプレゼントだったと述べています。
彼女は一人っ子でお話を読むことが大好きでしたが、集中力がなさすぎて1冊読み終わる前に次のお話が気になってしまうことがよくありました。そのうちお話とお話がごちゃ混ぜになっちゃったり、勝手な妄想でお話を繋げたり…そんなことを1人で楽しんでるような子どもだったそうです。
本書には印象的な表現が多数登場します。滝沢さんは、小さい頃はきょうだいがいない分、木や洋服や空と会話する時間がいっぱいあったそうです。それらはどんな表現も否定しないというか、「その言葉は違うよ」とか言わないそうです。彼女はあの小さい頃の自由さを今も引き連れてこられているのかもしれません。
『馴染み知らずの物語』は本の情報サイト『好日好書』での連載と書き下ろしをまとめたもので、月イチ連載が始まって5年。少しずつですが「あの表現が面白かった」と言ってくれる人が増えていることが夢みたいだそうです。しかも1冊の本にまでなって、小学生の頃の自分の肩を叩いて「よかったね」って言ってあげたいそうです。
