ねぶた祭の暴力事件に巻き込まれたねぶた師が語る節目の作品と心境
暴力行為で「全て失いました」ねぶた師は心の整理つかず「ねぶたを返して」(ATV青森テレビ) - Yahoo!ニュース
こんにちは。今回は、私の故郷である青森ねぶた祭で起きた暴力行為についてお話ししたいと思います。
青森ねぶた祭といえば、東北を代表する夏祭りの一つで、毎年8月に開催されます。色鮮やかなねぶたと勇壮なはやとりが街中を練り歩き、見る人を魅了します。私も子どもの頃から毎年この祭りに参加してきましたが、今年は残念なことに見ることができませんでした。その理由は、青森青年会議所の運行スタッフが暴力行為を起こしたことにより、その団体のねぶたが運行中止になったからです。
この事件は8月6日に発生しました。青年会議所の運行スタッフ2人が、自分たちの団体の大型ねぶたを曳いていた曳き手に平手で殴るなどの暴力行為をしました。その様子は映像に収められ、インターネット上で拡散されました。この映像を見た人々からは、青年会議所に対して非難や抗議の声が相次ぎました。
この暴力行為は、青森ねぶた祭の精神に反するものであり、許されることではありません。しかし、この事件の被害者は曳き手だけではありませんでした。実は、この大型ねぶたを制作してきたねぶた師・立田龍宝さんも、心ない言葉や批判を受けてしまったのです。
立田さんは、自分の作品の真下で暴力行為が行われていたことに対して、「ショックよりも言葉なにもでない」と語っています。立田さんに送られてきたメールには、「ねぶたを見る気になれない」というような内容が書かれていました。立田さんは、「私じゃないのになというのが正直なところ」と感想を述べています。
立田さんは、今年制作した大型ねぶたが節目となる作品だったと言っています。その作品は、「国性爺合戦」という歌舞伎の演目をモチーフにしたもので、立田さんの師匠である故・佐藤龍宝さんの代表作でもあります。立田さんは5歳の時にこの作品を見て、ねぶた師になることを志したそうです。師匠を超えるべく心血を注いで満足いく出来栄えに仕上げました。
しかし、その作品は暴力行為の影響で運行中止になり、立田さんは「このねぶたを返してほしいというのが、一番の思いです」と悲痛な叫びを上げています。青森青年会議所は、来年の祭への参加自粛を決めましたが、立田さんは「再興する年、ねぶた師となって11年目の新たなスタートの年に、いいタイミングで作れればと選んだものが最後、グジャグジャになってしまった」と無念さを語っています。