夏場に発生のトコジラミについて
「トコジラミ」は、シラミと名の付くものの、実はカメムシの仲間である。日本では1970年代半ばからほとんど目にしなくなっていたが、殺虫剤が効かない”スーパーナンキンムシ“なども登場し、東京都福祉保健局に寄せられた2015年の相談件数は360件と10年間で10倍以上になって以降、被害が広がっている。
トコジラミは、適温は25℃前後で、成虫の大きさは5~8ミリ。通常は寝室にいちばん多く、風呂場やキッチンにはまずいない。日中は家具や壁などのありとあらゆる隙間に潜み、主に夜に活動する。刺されると夜も眠れないほどかゆくなったり、ひどいと熱が出たりすることもある。
トコジラミにかまれた宿泊者の大半は、その事実にすら気付かない。
しかも、それまでかまれたことがなければ、実はかゆみも腫れも生じない。トコジラミ研究の第一人者である米ミシシッピ州立大学の医学・獣医学昆虫学教授ジェローム・ゴダード氏に言わせれば「蚊に比べればましです」。そして、病気の媒介についても、蚊に比べればましだ。トコジラミが感染症を媒介する可能性については、肝炎からHIVまで、すでに広く研究されている。結果はどうだったか?答えはシロだ。トコジラミが感染症を媒介するという事例はこれまで報告されていない。