セブン＆アイHDの経営に異を唱える「物言う株主」の米投資ファンドが、株主総会で提案した議案が否決されたことについて、どう考えるのか。この記事では、その背景と今後の展望について解説する。
物言う株主とは
物言う株主とは、自らが保有する株式を使って、企業の経営に対して意見や要求を行う株主のことである。特に、外国人投資家やヘッジファンドなどの機関投資家が、企業の業績や経営効率、ガバナンスなどに不満を持ち、改善を求める場合が多い。
セブン＆アイHDと対立している物言う株主は、米投資ファンドのサードポイントである。同ファンドは、セブン＆アイHDの筆頭株主であり、約5%の株式を保有している。同ファンドは、セブン＆アイHDの経営方針に反対し、以下の3点の議案を株主総会に提案した。
- セブン＆アイHDの子会社であるイトーヨーカ堂の売却
- セブン＆アイHDの子会社であるセブン銀行の上場
- セブン＆アイHDの取締役会に独立性の高い外部取締役を増やす
同ファンドは、これらの議案が実現すれば、セブン＆アイHDの企業価値が向上し、株主還元も増えると主張した。しかし、セブン＆アイHDは、これらの議案に反対し、自社の経営方針を堅持すると表明した。セブン＆アイHDは、イトーヨーカ堂やセブン銀行はグループ全体のシナジーを生み出す重要な事業であり、売却や上場は不適切であるとした。また、取締役会における外部取締役の割合は既に高く、さらに増やす必要はないとした。
株主総会での結果
6月24日に開催されたセブン＆アイHDの株主総会では、サードポイントが提案した3点の議案はいずれも否決された。賛成票はそれぞれ10%以下にとどまり、反対票が圧倒的多数を占めた。これは、セブン＆アイHDの経営陣が株主から信任を得たことを示すとともに、サードポイントが孤立したことを示す結果であった。
